あの日に思いをよせて・・・

保育者を目指す学生達に、冬休み明けの授業のとき、必ず読む絵本があります。
長谷川 集平さんの絵本はせがわくんきらいや(ブッキング ¥1,680)とあしたは月曜日(文研出版¥1,260)です。

本題に入る前にちょっと・・・絵本の読み方・選び方については・・・これから詳しく「おもちゃの森」でもUPしていく予定ですが・・・絵本というものは本当になんと言ってよいか・・・不運な運命を持っているものがありまして・・・

いくら内容がよくって、心の中に入ってくるものがあったとしても、売れない絵本のなんと多いこと・・・・

そして、その絵本をすごく気に入って出版社が出版してくれても・・・そういう絵本を見る目のある出版社は・・・悲しいかな・・・どんどんなくなっていってしまって・・・・

気がついたときには、その絵本が絶版!!ということがなんとも多くて・・・・

で、売れる絵本をつくるにはどうしたらよいか・・・という話になると、手っ取り早いのは、教育に使える、大人の押し付け(妙に道徳的だったり、大人の感情(涙腺に働きかける、または懐古主義的な・・)に感動の大安売りをする)が入っている絵本・・・もっとわかりやすく言うと、言いたいことが明白な・・・大人が安心して理解できる絵本というもの・・・うん・・・つまり親に向かって絵本をつくればいいんです。

絵本なんですもの、絵が大切なのに・・・子どもにはこういう「かわいい」絵を与えればいいのよ!!といわんばかりの雑な絵本の多いこと・・・・
いいかげん「こども=かわいいものがすき」という幻想は捨てて欲しい・・・

そういう点でいうと・・この長谷川さんの絵本は見た目が大人から嫌われる絵本です。





1976年第3回創作絵本新人賞を受賞した「はせがわくんきらいや」は絵本界に衝撃を与えたといわれております。
割り箸ペン(割り箸を削って墨で描く)で、はせがわさんの思いのたけをぶつけたこの作品・・子どもの世界はこれよ!!と思わずポンと手を打ちたくなる作品です
この作品・・・とっても不運な運命をたどっておりまして・・・この絵本が出版され喜ぶたびに、その出版社がつぶれてしまい・・・絶版・・絶版となっておりました。
その後、絵葉書として集平さん自身が手作業で作って発売していたのですが、復刊ドットコムさんで、昨年復刊!!手に入るようになりました。

某こどもの絵本やさんが、この作品に感動し、お店に来る先生方に勧めても・・・やはり「絵がね~」といわれてなかなか手を出さない・・・「だまされたと思って、こどもたちによんでみろ!」といって読んだところ・・・「買います」という方々が・・・・そうやって口コミで、ほそぼそと売れてきた本です。

その長谷川さん、数々の絵本を出版してらっしゃるのですが・・・なぜこの2冊を年明けに読むかというと・・・一つには、長谷川さんの絵本の持つ人間への優しさ・・そしてせつなさがあるからです

「あしたは月曜日」は19995年1月17日・・・阪神・淡路大震災前の日曜日の一日を描いた絵本です。
中表紙には今は変わってしまった神戸の街並みとともに集平さんの献辞がありまして・・・
「・・・(略)大変な被害があり、多くの人が亡くなり、傷つきました。
この絵本は、その朝まで、おだやかな
ふつうの生活を送っていた方々にささげたいと思います。
ありきたりの休日が、どんなに大切なものだったか
わたしたちは思い出すことができます。」

日々すごしている、そして、何気ない家族の会話、それらすべてが、大切で愛すべきもの・・・
政府と教育界がやっきになって、家族はいいものキャンペーンをしているものとはまったく別物で、深々と、幸せについて考えさせてくれる絵本です。
そういうことをさらっとやってしまうところに集平さんのすごさがあるかなと・・・
集平さんが文章を書いて、村上康成さんが絵を描いた・・・「おんぼろヨット」のシリーズなんかも、これは・・・哲学でしょう・・・というよな内容なんですが・・・難しさをまったく感じさせず、かえってその絵本を読んでの余韻というものを楽しみ・・・人生について深く考えさせられる絵本です。

まあ・・・こんな風に深読みするのは大人であって・・・こどもは・・・まったく(そんなこというと失礼ですね)難しく解釈せず、あるがままに受け入れてしまうんですもの・・・ああ・・・かなわないとおもいます。

この2冊は、学生達が今まで手にしてきたことのない絵本らしく・・・(ということは、その周りにいた大人も手にしたことがないということで・・・)読み終えたあとは・・・いつもシーンと自分の中にその世界を戻しています。
読み終えたあとでは、学生の目が変わります。
自分に問いかける、今までの自分に重ねあわせる・・・その姿・・・若い人が・・と、いろいろいわれますが、その学生達の目を見ると、「大丈夫」となんだか毎年ほっとします

「ベストセラーや書店のお勧め。よい絵本なんていうのだけで絵本を判断するのではなく自分の心で判断するように。売れるものだけが良いものじゃないよ・・・」
「保育者だからといって、子どもを教育するために絵本を選ぶということをしないように・・・」

年初めに必ずこのことを伝えます。
そして・・・

災害にあって・・・傷ついた子どもたちとあなたはどう接していきますか?とききます

学生が実際に現場に出るころには、宮城県沖地震がくるといわれています。

被災者でありながら、保育者として・・・そのときあなたはどうしますか?

私にも出せない答えを・・・ずるいですよね・・・学生に考えさせます。
答えは聞きませんが・・・・
声に出すことが出来ない子どもの心をどう解きほぐしていくか・・・小さな心では抱えられない大きな恐怖をどう小さくしていくことが出来るか・・・どう一緒に乗り越えていくことが出来るか・・・

阪神・淡路大震災から10年・・・節目にあたる今年は、去年の世界的大災害もあり、様々な特集番組が組まれています。
やたらに恐怖をあおるもの・・・どう震災から身を守ればよいか・・・知識として入れておくにはいいことだと思います。
でも・・・どうしようもなくなってしまって・・・立ち上がれなくなったときに、そこからどう生きていくか・・・どう歩き出すか・・・・感動の押し売りではない、視聴者がゆっくりと心に反芻できる番組があったらとおもいました。

「救命救急24時」のドラマは、その点をかなり意識したつくりになっているようですが、

10年は通過点に過ぎない・・・
10年たってやっと話せるようになった・・・・
そんな言葉がブラウン管から聞こえてきます

10年という月日は決して短くなく・・・そして長くもありません。その間に、阪神・淡路大震災で学んだ多くのことが、その後の地震対策に役立ちました。また子どもたちの心のケアにも役立ちました


10年たっても、20年たっても・・・大きな犠牲の上で私達が手にしたこの思いは・・・忘れてはいけないのではと思います。

ありきたりの休日に感謝を・・・・

あしたは月曜日です・・・
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by nisi-majyo1 | 2005-01-16 14:58 | 風のつぶやき
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